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申請受付が始まった「勤務間インターバル」導入助成金
◆最大50万円支給
2月15日より、中小企業事業主を対象とした「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」の申請受付がスタートしました。
本助成金は、過重労働の防止および長時間労働の抑制に向け、勤務間インターバル(休息時間数を問わず就業規則等において終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの)の導入に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部(最大で50万円)を助成するものです。
◆支給対象事業主は?
支給対象事業主は次の通りです(その他、資本・出資額や労働者数に関する要件があります)
(1)次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ すでに休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
(2)労働時間等の設定の改善を目的とした労働時間の上限設定に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること
◆支給対象となる取組み
以下の取組みのうち、いずれか1つ以上を実施する必要があります(原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません)。
(1)労務管理担当者に対する研修
(2)労働者に対する研修、周知・啓発
(3)外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
(4)就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の整備など)
(5)労務管理用ソフトウェアの導入・更新 (6)労務管理用機器の導入・更新
(7)その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新
なお、支給対象となる取組みは、「成果目標」として、事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入することを目指して実施することが求められています。
◆申請受付期限は?
都道府県労働局への申請受付は12月15日が締切日となっていますが、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、それ以前に受付が締め切られる場合があります。
連続プラスが続く「パートタイマー時給」の最近の相場
◆関東4都県の募集時平均時給は1,000円を突破
パートタイマーの平成28年12月の平均時給は、関東4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で1,020円、東日本で1,000円でした(アイデム人と仕事研究所が3月3日に公表した集計結果による)。
職種別では、「専門・技術職」で前年同月比マイナス88円の1,203円となったほかは、「事務職」「販売・営業職」「フードサービス職」「運輸・通信・保安職」「製造・建設・労務職」「その他」のいずれもプラス7~68円で増額しました。
伸び率が高かったのは、「運輸・通信・保安職」の前年同月比プラス68円の1,057円と、「フードサービス職」の同プラス12円の924円でした。
◆西日本の平均時給の伸びは東日本を上回る
関西3府県(大阪・京都・兵庫)は990円で前年同月比9円プラス、西日本は969円で同プラス16円と、いずれも関東4都県の2円プラス、東日本の8円マイナスを上回りました。
職種別では、東日本と同様、「専門・技術職」で前年同月比マイナス27円の1,267円となったほかは、いずれも9~44円プラスでした。
伸び率が高かったのは「販売・営業職」の前年同月比プラス44円の893円、次いで「製造・建設・労務職」の同プラス37円の927円でした。この点は、東日本と異なる結果です。
◆全体ではプラス傾向だが一部にマイナス100円超も
集計結果は平成24年1月から48カ月の推移をみることができますが、全体で、東日本は970円から1,000円、西日本は919円から969円と、プラス傾向が続いています。
ところが、「専門・技術職」は前年同月比で東京都区部や神奈川県はマイナス107円、京都府はマイナス200円と、兵庫県でプラス108円となった以外、いずれもマイナスです。
◆医療・介護・保育業界の人材確保に影響が?
この「専門・技術職」とは、看護師・准看護師、看護助手、薬剤師、歯科衛生士、歯科助手、介護福祉士、介護ヘルパー(2級以上)、保育士です。
いずれも人手不足が深刻な職種で、時給のマイナスによりさらなる悪化が懸念されます。
厚生労働省では、これらの職種における処遇改善に対する助成金も設けています。活用を検討してみてはいかがでしょうか。
4月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
○雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
○労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]
5月1日
○預金管理状況報告の提出[労働基準監督署]
○労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、1月~3月分>[労働基準監督署]
○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
2月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
1日
○ 法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]
○ 給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]
○ 労働保険料納付<延納第3期分>[郵便局または銀行][労働基準監督署]
16日
○ 所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
28日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
「外国人技能実習制度」見直しで受入れ企業に届出義務化
◆技能実習制度の現状
現在、日本で技能実習生として16万人を超える人が働いており、中国やベトナム、インドネシア等を中心に受け入れています。
対象業種は農業や建設、食品製造など72に及び、人材不足が深刻な業種では労働の貴重な担い手としての役割も期待されています。
ところが、2013年に厚生労働省が行った立入調査では、対象事業所の約8割で「残業代未払い」や「過重労働」といった労働法令違反が明らかになるなど、国際社会からも不当労働や人権侵害の温床になっているとの批判を受けていました。
◆これまでの制度改正の内容
同制度は1993年に創設されましたが、研修期間中の実習生には労働関係法令の適用がなく、不当な扱いを受けるケースも多くあったため、法改正により、最長3年間の研修期間のうち、入国当初の講習期間を除き、企業等での技能習得等のための期間については労働関係法令が適用されることとなり、2012年7月より施行されています。
◆今回の改正内容
上記の改正によっても法令違反が解消されていないため、新たに受入れ企業の抜打ち検査を実施する権限を持つ「外国人技能実習機構」を設置することとします。
また、受入れ企業には同機構への届出を義務化し、実習内容の確認を受けます。この届出をしない企業には罰金が科されるほか、5年間の受入れ禁止処分となります。
そのほか、実習生の待遇を日本人と同等以上とすることが求められます。また、受入れ期間を3年から5年に延長し、対象業種として新たに介護を加えるとしています。
均等法・育介法改正で「マタハラ防止」を企業に義務付けへ
◆男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正
政府は、今国会に提出する男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案の中に、女性らが妊娠や出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策の企業への義務付けを盛り込む方針を明らかにしました。
2017年4月からの実施を目指すとしています。
◆就業規則へ盛り込むことなどを義務付け
具体的には、マタハラ行為を禁止する規定を就業規則に盛り込むことや相談窓口の設置、社員研修の実施などを企業に求めることとします。
派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名について公表する方針です。
◆最高裁判決や厚労省調査を受けて判断
現行の男女雇用機会均等法でも、事業主に対して、妊娠や出産を理由にした解雇や降格は禁止していますが、職場の上司や同僚が「長く育休を取得されると迷惑」「辞めたらどうか」などと発言するのは、事業主が発言を指示した場合などを除けば違法とはなっていません。
マタハラをめぐっては、2014年10月に、妊娠による降格が男女雇用機会均等法に違反するという最高裁判決が出ています。
政府は、現行法のままでは、上司や同僚の言動で休みを取りづらい雰囲気が作り出されている実態には対応しきれないと判断し、昨年11月に発表した“一億総活躍社会”実現への緊急対策で「妊娠、出産などを理由とする不利益取扱いを防止するため法制度を含め対応を検討する」と盛り込んでいました。
まだまだ使える!「雇用促進税制」の概要
◆「雇用促進税制」とは?
平成26年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に始まる事業年度において、雇用者増加数5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、雇用増加割合10%以上等の要件を満たす企業は、雇用増加数1人当たり40万円の税額控除(当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度)を受けることができます。
◆地方拠点強化税制における雇用促進税制とは?
地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する事業主においては、以下の税制優遇を受けることができます(ただし、法人全体の雇用者の純増数を上限)。
(1)地方活力向上地域で特定業務施設を整備し雇用者を増加させた場合…法人全体の雇用増加率が10%以上の場合には「当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり50万円の税額控除」、法人全体の雇用者増加率が10%未満の場合には「当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり20万円の税額控除」
【拡充型】適用年度に雇用保険一般被保険者の数を5人以上(中小企業の場合には2人以上)増加させることが必要。
(2)東京23区から地方活力向上地域に特定業務施設を移転して整備する場合には「拡充型の税額控除額に加え、当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり30万円の税額控除」…(1)と併せて1人当たり最大80万円の税額控除
【移転型】雇用を維持していれば最大3年間継続。
◆対象となる事業主の要件
要件は、原則として以下の通りです。
(1)青色申告書を提出する事業主であること
(2)適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
(3)適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ、10%以上増加させていること
(4)適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること
(5)風俗営業等を営む事業主ではないこと
なお、適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。