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今国会で成立した「女性活躍推進法」の概要と関連助成金
◆8月28日に成立!
企業や自治体などに女性の登用を促すための「女性活躍推進法」(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が8月28日に成立し、従業員301人以上を雇用する企業と国や自治体などは、2016年4月1日までに、(1)女性の活躍状況の把握・課題分析、(2)行動計画の策定・届出、(3)ホームページ等での情報公表が義務付けられました。
2025年度までの10年間の時限立法で、取組状況が優良な企業については厚生労働大臣の認定を受けることができるようです。
◆300人以下の企業は「努力義務」
提出期限が来年4月までとなっており時間的な余裕がありませんが、目標数値や計画は企業に委ねられており、拘束力はありません。
また、虚偽の報告をした場合を除き罰則もありません。なお、300人以下の中小企業については「努力義務」となっています。
このように企業任せとなっている部分が多く、本質は「直接的な効果」よりも女性活躍推進のための「意識改革」にありそうです。
◆「女性活躍加速化助成金」の新設
同法の成立に合わせて、両立支援等助成金を改正する雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案が公示されました。
これは、両立支援等助成金として「女性活躍加速化助成金」を新設するもので、(1)中小企業事業主(常時雇用する労働者の数が300人を超えない事業主)が行動計画に定める取組みを実施した場合に30万円が支給され、(2)事業主が行動計画に定める取組みを実施し、かつ、数値目標を達成した場合に30万円が支給される内容です。
企業における「人材不足」の現状と対策
◆「インバウンド消費」と「マイナンバー」
景気は緩やかに回復していると言われており、一部では景気の良い話もあるようです。
有効求人倍率が年々少しずつではありますが上昇しており、8月に解禁された採用活動も活発になるなど、企業の人材確保に影響を与えています。
帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」(2015年7月実施)では、企業の36.2%で正社員が不足、非正社員については24.5%が不足と回答しています。
最近では、日本への外国人観光客の増加による「インバウンド消費」や、マイナンバー制度対応によるIT関係特需などから、小売業や情報サービス業などで特に人材不足感が強いようです。また、放送や飲食店で不足感が高いようです。
◆「オワハラ」の実態
新規学卒者に関する採用選考の開始時期が後ろ倒しに変更されたことにより、「オワハラ」(就活終われハラスメント)等の問題も指摘されているところです。
企業としては早期に人材確保をしたいため、内定や内々定を出した求職者に対してオワハラをしてしまうようですが、法的に問題となる可能性があるのに加え、行為を受けた学生のネット上での発言が拡散すると企業イメージに大きな傷が付いてしまい、翌年からの採用に影響を与えるでしょう。
なお、今年の内定辞退率(8月1日時点。リクルートキャリア調べ)は44.2%と、昨年の採用活動解禁日(4月1日)の24.1%に比べて大幅に増加し、“売り手市場”を裏付けています。
◆日本は人材不足の周期に
少子化や人口減少に伴い、日本の労働人口は大幅に減少すると予測されています。現在の人材不足も、景気の回復というよりは大きな流れとして労働力の供給が減少する局面に入ったことが大きな要因です。また、その減少が大幅なものとなると見込まれているということです。
減少幅は、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱となるとの見方もあります。
10月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
13日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
11月2日
○ 労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、7月~9月分>[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 労働保険料の納付<延納第2期分>[郵便局または銀行]
平成27年度 最低賃金額引上げの目安と企業の対応
◆地域別最低賃金額改定の目安
地域別最低賃金額が10月から引上げとなる見込みです。引上げ額の目安については、都道府県の経済実態に応じ、次の通り提示されています。
・Aランク⇒19円(千葉・東京・神奈川・愛知・大阪)
・Bランク⇒18円(茨城・栃木・埼玉・富山・長野・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・広島)
・Cランク⇒16円(北海道・宮城・群馬・新潟・石川・福井・山梨・岐阜・奈良・和歌山・岡山・山口・香川・福岡)
・Dランク⇒16円(青森・岩手・秋田・山形・福島・鳥取・島根・徳島・愛媛・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)
◆今後の流れ
現在、各地方最低賃金審議会で上記の目安を参考に調査審議が行われており、その答申を経て、各都道府県労働局長が地域別最低賃金を決定することとなります。
もっとも、提示された目安と異なる地域別最低賃金額が定められた例は過去ほとんどなく、目安額通りに決定されるものと考えられます。◆引上げ前のチェックが必要
最低賃金額に近い額で雇用契約を結んでいる従業員が多い事業場では、引上げ後の最低賃金額を上回る額が支払われているか、注意が必要です。
時間給を計算してみると最低賃金額を割り込んでしまっているケースが、アルバイト・パートタイマーはもちろん、正社員の場合であっても散見されます。
時給制の場合にはわかりやすいのですが、月給制や日給制の場合は、賃金額を労働時間数で割り戻して時間給を算出し、最低賃金額と比較してみてください。
賃金額が最低賃金額を下回る場合には刑事罰が定められており(最低賃金法40条、50万円以下の罰金)、悪質な場合には書類送検の可能性もあります。「引上げにきちんと対応できていなかった」という“うっかりミス”が多い部分ですので、10月の引上げ前に、再度、最低賃金額関連の管理について見直しておきましょう。
給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額)と、引き下げられています。
「マイナンバー制度」雇用保険関係の最新情報!
◆厚労省から続々と情報が公表
8月に入り、厚生労働省から雇用保険関係のマイナンバー制度に関する情報が続々と公表されています。
まず、8月3日に「概要リーフレット」と、事業主向けの詳細資料である「マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)」が公表され、来年1月から使用するマイナンバー制度に対応した雇用保険関係の様式案(7月時点の改正案)も公開されました。
さらに8月5日には「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」が公表されています。
マイナンバー制度に関する同省関係の情報発信は、国税庁などに比べると遅れ気味ではありますが、ようやく出てきたといった感じです。
なお、個人番号については厳重な管理が必要とされているため、同省ではできるだけ電子申請による届出を行うよう呼びかけています。
◆「Q&A」の内容
以下では、上記「Q&A」の内容からいくつかご紹介します(全体版は『厚生労働省 マイナンバー制度 雇用保険関係』で検索してご覧ください)。
Q7 「離職票-1」は事業主が個人番号を記載して離職者に交付するのか。
(答)「離職票-1」の個人番号欄は離職者が記載することとしており、事業主はハローワークから交付された「離職票-1」(個人番号欄は空欄)を離職者に交付していただくこととなります。
Q9 雇用保険手続について、手続の契機ごとに同一従業員の個人番号を重複して提出することになるのか。
(答)個人番号のハローワークへの届出にあたっては、事業主が従業員から個人番号を収集する際に本人確認を行った上で提出することからハローワークでは本人確認等の事務は行わないこととなりますが、仮に、個人番号が誤って登録された場合には、その後の事務処理に多大な影響を生じることとなることから、手続頻度の高い届出について、届出の契機ごとに、個人番号を記入して提出することとしています。
Q11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。
(答)雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。その上で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこととしています。