企業における「人材不足」の現状と対策

2015-10-15

◆「インバウンド消費」と「マイナンバー」
景気は緩やかに回復していると言われており、一部では景気の良い話もあるようです。
有効求人倍率が年々少しずつではありますが上昇しており、8月に解禁された採用活動も活発になるなど、企業の人材確保に影響を与えています。
帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」(2015年7月実施)では、企業の36.2%で正社員が不足、非正社員については24.5%が不足と回答しています。
最近では、日本への外国人観光客の増加による「インバウンド消費」や、マイナンバー制度対応によるIT関係特需などから、小売業や情報サービス業などで特に人材不足感が強いようです。また、放送や飲食店で不足感が高いようです。

 

◆「オワハラ」の実態
新規学卒者に関する採用選考の開始時期が後ろ倒しに変更されたことにより、「オワハラ」(就活終われハラスメント)等の問題も指摘されているところです。
企業としては早期に人材確保をしたいため、内定や内々定を出した求職者に対してオワハラをしてしまうようですが、法的に問題となる可能性があるのに加え、行為を受けた学生のネット上での発言が拡散すると企業イメージに大きな傷が付いてしまい、翌年からの採用に影響を与えるでしょう。
なお、今年の内定辞退率(8月1日時点。リクルートキャリア調べ)は44.2%と、昨年の採用活動解禁日(4月1日)の24.1%に比べて大幅に増加し、“売り手市場”を裏付けています。

 

◆日本は人材不足の周期に
少子化や人口減少に伴い、日本の労働人口は大幅に減少すると予測されています。現在の人材不足も、景気の回復というよりは大きな流れとして労働力の供給が減少する局面に入ったことが大きな要因です。また、その減少が大幅なものとなると見込まれているということです。
減少幅は、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱となるとの見方もあります。