‘事務所通信’ 一覧
12月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
○労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]
31日
○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[年金事務所]
○労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○外国人雇用状況報告(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
本年最後の給料の支払いを受ける日の前日まで
○年末調整による源泉徴収所得税の不足額徴収繰延承認申請書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]
○給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]
改正高年法施行後も継続雇用しなくてよい労働者とは?
◆来年4月1日に改正法が施行
8月29日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(改正高年齢者雇用安定法)が成立し、来年4月1日から施行されます。
改正の大きな柱は、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み」の廃止、つまり、原則として「希望者全員を継続雇用制度の対象者とすること」の義務付けです。
◆「例外」の内容(案)
しかし、上記の「原則」には「例外」が認められることとなっており、その「例外」の案が、厚生労働省から示されました。その内容は次の通りです。
・「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること」、「勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと」等、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。
・就業規則に定める解雇事由または退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。
・また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。
・なお、解雇事由または退職事由とは異なる運営基準を設けることは改正法の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。
・ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。
◆11月以降に正式決定の予定
上記の案は、今年11月以降に正式決定される予定です。
企業としては、来年4月以降に定年を迎える個々の労働者について、継続雇用(再雇用)の対象とするのかしないのか、継続雇用(再雇用)する場合の処遇(賃金等)をどのようにするのか等について、あらかじめ検討しておかなければなりません。
最近の労働裁判から(飲酒運転で退職金不支給、能力不足で解雇)
◆飲酒運転による事故での退職金全額不支給は適法
京都市の中学校の元教頭(52歳)が2010年4月に自宅で飲酒した後に自家用車で外出し、さらに車内でも飲酒し、物損事故(車に追突)を起こしました。
その後、この元教頭は懲戒免職処分を受け、「退職金全額不支給処分」となりましたが、不支給処分の取消しを求めて訴訟を提起しました。一審(京都地裁)では、原告側が勝訴(全額不支給処分は取消し)となりました。
この訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、原告側勝訴となった上記の一審判決を取り消し、元教頭の請求を棄却しました(平成24年8月24日判決)。
請求棄却の理由として、大阪高裁の裁判長は、「飲酒運転の内容は極めて悪質・危険であり、これに対する非難は大きく、公教育全体に対する信頼を失墜させた」とし、さらに「学校教育に貢献して勤務状況が良好だったことを考えたとしても、処分に裁量権の乱用があったとはいえない」と判断しました。
◆外資系企業における能力不足による解雇は無効
アメリカの金融・経済情報サービス会社に勤務する日本人男性(50歳)は、2005年11月に中途採用され、2009年12月以降、独自記事の執筆、同社の「業績改善プラン」への取組みなどを命じられました。
その後、記事本数の少なさ・記事の質の低さ(能力不足)を理由として、男性は2010年8月に解雇されましたが、「能力不足を理由として解雇されたのは不当である」と主張し、同社に対して「地位確認」および「賃金支払い」を求めて訴訟を提起しました。
この訴訟の判決において、東京地裁の裁判官は、解雇を無効とし、男性の請求を全面的に認めました(平成24年10月5日)。
裁判官は、「労働契約の継続を期待できないほどに重大だったとはいえず、会社が記者と問題意識を共有したうえで改善を図ったとも認められない」とし、「解雇理由に客観的な合理性はない」と判断しました。
男性側の弁護人によれば、外資系企業を中心に、無理な課題を設定する「業績改善プラン」の未達成を理由とした退職強要が相次いでおり、上記判決はこの手法による解雇を無効と判断した初めてのケースだそうです。
今後の他の外資系企業への影響が気になるところです。
平成24年度「地域別最低賃金額」の状況
◆6都府県で生活保護費を下回る
平成23年度は北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島の11都道府県で最低賃金が生活保護費を下回る「逆転現象」が起こっていたため、労働者のモチベーションダウンにつながる等、問題視されていました。
平成24年度は、これら11都道府県のうち青森、埼玉、千葉、京都、兵庫の5府県で逆転現象が解消されることとなりました。
◆最高額と最低額の格差は拡大
平成24年度地域別最低賃金の最高額は東京都の850円、最低額は島根県、高知県の652円で、両者の差は198円となっています。
この最高額と最低額の差を平成23年度と比較してみると、最高額837円(東京都)と最低額645円(岩手県、高知県、沖縄県)の192円であったものが、拡大する結果となっています。