‘事務所通信’ 一覧

2014-01-28

「年次有給休暇」に関する最近の動向

◆昨年の取得率は約47

厚生労働省の発表によると、企業が昨年(2012年)、社員に付与した年次有給休暇(年休)は平均18.3日で前年と同でしたが、社員が実際に取得した日数は平均8.6日(前年9.0日)に減少し、取得率も47.1%(同49.3%)に低下したことがわかりました。

また、時間単位の年休が取得できる制度のある企業の割合は11.2%(同8.8%)と若干増えたものの、全体の1割程度しかないことがわかりました。

さらに、内閣府の調査からは、年休の取得が進まないのは、上司の意識(取得する部下を「仕事より自分の予定を優先」等と否定的に考える)が原因である実態が明らかになりました。

 

◆「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱い」の改正

年休に関連して、注意が必要な通達の変更が行われています。これは、裁判により

解雇無効が認められた労働者が、復職後に年休取得を請求して出社しなかったところ、会社がその期間を欠勤として取り扱い、その分の賃金を支払わなかったこと等に関する最高裁の判決があったことによります。

労働基準法では、雇入れの日から6カ月の継続勤務期間またはその後の各1年度において全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、翌年度に決まった日数の年休を与えなければならないと定められています。

この出勤率の計算根拠について、「労働者が使用者の正当な理由のない就労拒否によって就労することができなかった日」を、年休の発生要件である全労働日に含まれると解釈したのがこの最高裁判決です。

この判決が出たことを受け、厚生労働省は、年休算定の基礎となる全労働日の取扱いを変更しました。具体的には、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、出勤率の算定にあたっては出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとしたのです。

◆規定の見直しを

解雇した労働者が復職した場合や、私傷病休職後の復職を認めずに退職扱いとした後に復職した場合などは、年休の出勤率の計算に影響がある可能性がありますので、注意が必要です。

また、就業規則で年休に関する出勤率の計算方法を定めている場合には、規定の見直しが必要になる場合もありますので、確認が必要でしょう。

2014-01-28

12月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

 

10日

○  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

○  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

○  労働保険一括有期事業開

2014-01-28

飲食店で多発する労働災害と防止のポイント

◆飲食店における労働災害の発生状況

休業4日以上となる重大な労働災害の発生は全産業では減少傾向にありますが、飲食店においては、平成19年から平成23年度についてみると約4,000件前後で推移する横ばい状態が続いています。

 

◆最も多い事故は「転倒」

飲食店で発生する事故の約27%は「転倒」が占めており、このうち約半数を「滑り」が、約3割を「つまずき」が占めています。

事故の発生状況をみると、「物の運搬中の転倒」が最も多く、材料や料理、ゴミなどの運搬中に、水や油で濡れた床に滑って転倒していることや、足元が暗かったり障害物があったりしてつまずいて転倒していることがわかります。

 

◆刃物等による「切れ・こすれ」も多い

また、事故の約25%は「切れ・こすれ」が占めており、このうち約4割を刃物が、約3割を割れた食器などが占め、残る約3割については缶の蓋の鋭利な部分で切ったり食料品加工機械を使った作業中に切ったりする災害が占めています。

事故の発生状況をみると、作業中に起きているものがほとんどですが、よそ見をしていたり安全な状態にない刃物を放置していたり、不適切な方法で機械操作を行ったりなど、安全策をきちんと講じていれば防ぐことができたと思われるケースもあります。

 

◆災害防止の基本は「4S活動」

パートやアルバイト等が多い飲食店では、比較的短期間で従業員が入れ替わるため、経験不足の従業員が安全な作業方法や安全な職場環境の保ち方を知らないことがあります。

新米従業員の採用時や異動時に「整理・整頓・清掃・清潔」の「4S活動」を徹底させるほか、ベテラン従業員に対しても常に意識付けすること等により、職場全体で取り組むことが必要です。

2014-01-28

「改正労働契約法」施行後の有期労働契約者の本音は?

◆不十分な認識

「改正労働契約法」が施行されて半年以上が経ちましたが、連合が行った「有期契約労働者に関する調査」の結果によると、「無期労働契約への転換」について、「ルールができたことを知らなかった」と答えた人は6割以上もいたそうです。

「不合理な労働条件の禁止」については、約7割が知らず、改正労働契約法への認識は不十分と言えそうです。

 

◆「無期転換」はモチベーションアップにつながる?

また、有期労働契約者が「無期労働契約への転換」についてどのように思っているかを尋ねたところ(複数回答)、「無期契約に転換できる可能性があるのでモチベーションアップにつながる」と答えた人は約半数を超えたものの、「契約期間が無期になるだけで待遇が正社員と同等になるわけではないから意味がない」と答えた人も約7割に上り、待遇改善につながらないと感じている人が多いことがわかりました。

 

◆正社員も有期契約者も業務内容は同じ?

次に、業務内容や仕事への姿勢などについて正社員と比較してもらったところ、業務内容については、「正社員と同じ」と答えた人が半数近くに上り、正社員との業務内容にあまり差がないことがわかりました。

また、仕事上の責任や残業時間は、おおむね正社員よりも負担が少ないとの結果でしたが、仕事に対する姿勢ついては、「正社員よりも真面目」と答えた人が約半数に上り、仕事を遂行する能力も「正社員よりも高い」と答えた人が約2割となりました。

◆有期労働者の4割は正社員希望

「有期契約で働くことになった状況」について尋ねたところ、自らが希望して有期契約になった人は約半数だったものの、有期労働契約者の3人に1人は正社員になれ

なかったために有期契約で働いていることがわかりました。

また、今後の働き方の希望を聞いたところ、「正社員になりたい」と答えた人は約4割で、特に、正社員になれなかったために有期契約で働いている人では、正社員への転換希望を持っている割合は7割以上になりました。

 

◆職場に対する不満

最後に、職場についての不満については、「給料が上がらない」、「働きぶりが評価されない」など、待遇に不満をもっている人が多かったようです。中には、「正社員がちゃんと働かない」、「パワハラやセクハラがある」などの回答もみられました。

2013-10-28

企業における「懲戒処分」の実施状況は?

◆労働政策研究・研修機構の調査

近年、労使トラブルは増加傾向にありますが、それに伴い懲戒処分を実施する(または実施を検討する)企業も増えているようです。

ここでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構から今年7月末に発表された「従業員の採用と退職に関する実態調査」(常用労働者50 人以上を雇用している全国の民間企業5,964社が回答)の結果から、懲戒処分の状況について見てみましょう。

◆懲戒処分の規定内容

まず、懲戒処分の規定が「ある」企業の割合は 94.6%で、規定のある企業を対象にその規定の形式を尋ねたところ、ほとんどの企業(98.1%)が「就業規則」に規定しているました。なお、「労働協約」で定めている企業は6.4%でした。

規定内容は、割合の高い順に「必要な場合には懲戒処分を行う旨の規定」(75.7%)、「懲戒処分の種類」(69.9%)、「懲戒の対象となる事由」(61.9%)となっ

ています。

◆最近5年間の実施状況

ここ5年間での懲戒処分の種類ごとの実施割合は、次の通りとなっています。

(1)始末書の提出(42.3%)(2)注意・戒告・譴責

(33.3%)

(3)一時的減給(19.0%)

(4)降格・降職(14.9%)

(5)懲戒解雇(13.2%)

(6)出勤停止(12.3%)

(7)諭旨解雇(9.4%)

なお、「いずれの懲戒処分も実施していない」企業の割合は39.0%でした。

◆懲戒処分実施時の手続き

懲戒処分を実施する際の手続きとして法律で定められた要件はありませんが、一般的には「理由の開示」、「本人の弁明機会の付与」が必要とされています。

また、「労働組合や従業員代表への説明・協議」を行うことにより、本人以外の従業員の納得性を高めることもできますので、実施する際には慎重な配慮が必要です。

 

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