「退職金・年金に関する実態調査結果」にみる近年の動向

2015-06-15

◆調査の概要
日本経団連と東京経営者協会との共同調査による「退職金・年金に関する実態調査」の結果が公表されました。
この調査は、退職金・年金の実態および退職金水準の動向を把握し、退職金制度の見直し等の参考とするために 1973年より隔年で実施されています。

 

◆「標準者」の退職金
ここでいう「標準者」とは、学校卒業後すぐに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を指します。この標準者の退職金額については、大卒者・高卒者とも勤続年数・年齢の上昇に伴って増加し、「管理・事務・技術労働者」の60歳・総合職で、大学卒が2,357.7万円、高校卒が2,154.9万円となっています。
10年前、20年前と比べると退職金の増え方は、全体的に緩やかになっています。

 

◆「ポイント方式」採用企業が大半
賃金改定額と退職金算定基礎額の関係では、「賃金改定額とは関係なく別建て」としている企業が増える傾向にあり、今回の調査では76.2%となっています。賃金改定額とは別建てとしている企業のうち、「ポイント方式(点数×単価)」を採用している企業の割合が最も多く、86.0%となっています。
また、ポイント方式を採用している企業が、ポイントの配分をどのような割合にしているかをみると、「資格・職務要素」として約60%、「年功要素」として20%台の配分が多くなっています。
さらに、勤続年数や年齢の上昇に伴い、「年功要素」が低下して「資格・職務要素」が高まる傾向にあります。

 

◆マッチング拠出の導入状況
「退職年金制度」がある企業についてみると、「確定拠出年金(企業型)」(54.0%)が最多で、「確定給付企業年金(規約型)」(51.3%)、「確定給付企業年金(基金型)」(31.7%)と続いています。
また、「確定拠出年金(企業型)」のマッチング拠出については増加傾向にあり、「導入済み」が30.2%(2012 年は6.6%)、「導入する方向で検討中」が14.1%(同21.3%)となっています。一方で、「導入の考えはない」とする企業も47.7%(同61.5%)あります。
現在、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が国会で提出されており、中小企業を対象とした「簡易型DC制度」の創設等が検討されています。今後の退職金制度の見直しについては、こうした情報も考慮しておきましょう。