「社会保険の適用拡大」に伴う企業と労働者の対応は?

2013-10-28

◆調査の内容

社会保険の適用拡大が短時間労働者の雇用管理に及ぼす影響や、適用拡大が実施された場合の短時間労働者の対応の意向に関する調査の結果が公表されました。

この調査は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が、常用労働者5人以上の事業所(1万5,000社)に対するアンケート調査と、短時間労働者が多いとされる業種の企業および労働組合にインタビュー調査を行ったものです。

◆企業の意向は?

◎短時間労働者の雇用管理について見直す(と思う)企業が半数超

・「所定労働時間の長時間化を図る事業所」…約3割

「短時間労働者の人材を厳選し、一人ひとりにもっと長時間働いてもらい雇用数を抑制」するという企業が30.5%ありました。

・「所定労働時間の短時間化を図る事業所」…約3割

「適用拡大要件にできるだけ該当しないよう所定労働

時間を短くし、その分より多くの短時間労働者を雇用」するという企業が32.6%ありました。

◆従業員の意向は?

社会保険が適用拡大されたら働き方を「変えると思う」短時間労働者は約6割おり、具体的には、次のような意向が多くなっています(無回答:36.3%)。

・「適用されるよう、かつ手取り収入が増えるよう働く時間を増やす」…26.7%

・「適用されるよう働く時間を増やすが、手取り収入が減らない程度の時間増に抑える」…15.6%

・「適用にならないよう働く時間を減らす」…14.5%

・「正社員として働く」…8.7%

社会保険適用を希望しているが、会社から労働時間の短時間化を求められた場合の対応として、「他の会社を探す」「分からない・何とも言えない」「受け容れる」がそれぞれ約3割となっています。

◆短時間労働者の二極化

社会保険の適用拡大に伴い、「短時間労働者」という雇用形態では、“長時間化す

る層”と“短時間化する層”への二極化が進むと予測されます。また、基幹となる短時間労働者については、業務上の高度な役割を担う割合が高くなってくるでしょう。

その際、処遇や労働条件を適切に確保しなければ、貴重な人材の流出につながる可能性が高まります。