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実務に大きな影響が!「労働時間」に関する法改正の動向
◆「報告書案」が示される
2月6日に労働政策審議会労働条件分科会(第124回)が開催され、「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書案)」が示されました。
前回の分科会(1月29日)での議論を踏まえて「報告書骨子案」から「報告書案」となりましたが、労使間での合意までには至らず、「報告書」の決定は持ち越しとなっています。
◆「報告書案」のポイント
上記で示された報告書案では、主に次の内容が記載されています。
・改正労働基準法の施行は「平成28年4月」とすること。
・月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(5割以上)の中小企業への適用猶予の撤廃時期は「平成31年度」とすること。
・使用者に年次有給休暇の時季指定を義務付ける日数(付与日数が10日以上である労働者が対象)については「年5日」とすること。
・上記措置に伴い有休管理簿の作成を義務付け、3年間保存しなければならないとすること。
・フレックスタイム制の精算期間の上限について現行の1カ月から「3カ月」に延長すること。
・上記精算期間内における当該月の割増賃金の支払対象は「1カ月ごとに1週平均50時間を超えた労働時間」とすること。
・裁量労働制の適用拡大の対象は「課題解決型提案営業の業務」「企画立案調査分析を一体的に行う業務」等とすること。
・高度プロフェッショナル制度の対象者の年収は「平均給与額の3倍程度を相当程度上回る」(1,075万円を想定)とすること。
◆今後の流れは?
今後、これまでの議論を踏まえて「報告書」が示された後、報告書の内容をもとにした労働基準法の改正案が通常国会に提出される見込みとなっています。
いまだ労使の対立が激しい内容も含まれていますが、企業実務に大きな影響を与える改正になりそうですので、議論の行方に注目しておかなければなりません。
3月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
2日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
10日
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
31日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
厚労省が示した平成27年からの長時間労働対策
◆「過重労働等撲滅チーム」の取組み
昨年9月、「長時間労働削減推進本部」が厚生労働省内に設置され、長時間労働対策が強化される方針が示されました。
この推進本部の中の「過重労働等撲滅チーム」による施策として、平成27年1月から具体的な取組みが行われます。
◆1月からの主な取組み
(1)月100時間超の残業が行われている事業場等に対する監督指導の徹底
「時間外労働時間数が1カ月100時間を超えていると考えられる事業場」や「長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場」を対象とした、労働基準監督署による監督指導(立入調査)が徹底されます。
法違反を是正しない事業場については、送検も視野に入れて対応(送検した場合には企業名等を公表)するとのことです。
(2)インターネットによる情報監視
厚生労働省がインターネット上の求人情報等を監視・収集し、その情報を労働基準監督署による監督指導等に活用されます(平成27年度からの本格実施に向けて、平成27年1月から試行的に実施)。
高収入を謳う求人、求人を繰り返し行うもの等の過重労働が疑われる求人事案に着目して行われるようです。
(3)メンタルヘルス対策の強化
メンタルヘルスの一層の向上を目指し、都道府県労働局において次の取組みを実施します。
・ストレスチェック制度の周知(改正労働安全衛生法により平成27年12月から施行)
・ストレスチェックおよび面接指導等を行う医師、保健師等に対する研修(平成27年度からの実施に向けて、平成27年1月から準備)
◆ハローワークへの求人の不受理
また上記とは別に、厚生労働省では、過酷な労働を強いるいわゆる「ブラック企業」からの新卒求人を、内容にかかわらずハローワークで受理しない制度を作ることを検討しているようです。
今年も引き続き、長労働時間等には行政の指導も厳しいようですので、適切な労働時間管理に取り組んでいくことが必要ですね。
労務・給与担当者が押さえておきたい2015年上半期施行の主な改正事項
◆労働法関連
今年4月1日より、「雇入れ時・契約更新時の労働条件に関する説明義務化」や「正社員との差別的取扱いが禁止される労働者の範囲拡大」等を内容とする改正パート労働法が施行されます。
また、6月1日より、重大な労働災害を繰り返す企業に改善計画を提出させるほか、その指示に従わない企業名公表等を内容とする改正労働安全衛生法が施行されます。
なお、同改正によるストレスチェック制度導入は12月1日です。
◆労働保険関連
4月1日より、労災保険率が全54業種平均で4.8/1000から4.7/1000へと0.1/1000引下げとなります。なお、一人親方等の特別加入に係る第2種特別加入保険料率、海外勤務者の特別加入に係る第3種特別加入保険料率も改定されます。また、労務費率の改定、請負金額の取扱いの改正および労務費率の暫定措置の廃止も、同日施行されます。
なお、雇用保険料率は据置きの方針で、一般13.5/1000、農林水産清酒製造15.5/1000、建設16.5/1000です。
◆助成金・奨励金関連
2月より、「中小企業両立支援助成金」に育休復帰支援プランが新設され、「育休復帰プランナー」による支援のもと「育休復帰プラン」を策定・導入し、対象労働者が育休を取得・職場復帰した場合に助成金が支給されることとなります。
このほか、「キャリアアップ助成金」、「トライアル雇用奨励金」、「労働環境向上助成金」、「キャリア形成促進助成金」、「建設労働者確保育成助成金」等の改正も見込まれています。
◆社会保険関連
健康保険関連として、1月1日より、高額療養費制度が改正(70歳未満の所得区分が細分化) されています。
年金保険関連として、昨年4月分から実施されている年金額の特例水準解消について、残る0.5%分の解消による改定が4月分より行われる予定です。なお、年金額は1月末に公表される全国消費者物価指数の動向により決定されます。
◆その他
4月1日より、法律の有効期限の10年間延長等を内容とする改正次世代育成支援推進法が施行されます。また、労働・社会保険関連の電子申請システムについて、従業員データの入力作業の省略が可能となる等、4月より利便性向上が図られる予定です。
2月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
2日
○ 法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]
○ 給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]
○ 労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10月~12月分>[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 労働保険料納付<延納第3期分>[郵便局または銀行]
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
[労働基準監督署]
16日
○ 所得税の確定申告受付開始<3月16日まで>[税務署]
※なお、還付申告については2月13日以前でも受付可能。
3月2日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]