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「業務改善助成金」の対象地域が拡大
◆補正予算成立により対象拡大
「業務改善助成金」(中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)は、事業場内の最も低い時間給を、計画的に800円以上に引き上げる中小企業に対して、賃金引上げに資する業務改善を支援する助成金です。
2013年度補正予算成立後より、対象地域が拡大されました(新たに7府県:埼玉県、千葉県、静岡県、愛知県、三重県、京都府、兵庫県が追加)。
◎対象地域の一覧
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/jigyousya/shienjigyou/04.html
◆支給要件・支給額
本助成金の支給を受けるためには、次のような要件が必要です。
[1] 賃金引上げ計画の策定…事業場内で最も低い時間給を4年以内に800円以上に引上げ
[2] 1年当たりの賃金引上げ額は40円以上…就業規則等に規定
[3] 引上げ後の賃金支払実績
[4] 業務改善の内容および就業規則に対する労働者からの意見聴取
[5] 賃金引上げに資する業務改善を行い、費用を支払うこと等
<支給額>上記[5] の経費の2分の1(上限100万円)
<支給回数>賃金引上げ計画期間中に支給要件を満たした年度に1回支給
◆本助成金の対象経費例
本助成金の対象となる経費等は、次のようなものです。
[1] 就業規則の作成や改定…事業場内で最も低い賃金の引上げ等に伴う規定の作成・改正のための社会保険労務士の手数料
[2] 賃金制度の整備…事業場内で最も低い賃金の引上げに伴う賃金制度の見直しのための賃金コンサルタント経費
[3] 労働能率の増進に資する設備・機器の導入
(1) 在庫管理、仕入業務の効率改善のためのPOSレジシステムの購入費用
(2) 作業効率および安全性の向上を目指した工場、店舗等の改装、機器等の購入費用
[4] 労働能率の増進に資する研修…新設備導入に必要な労働者の操作研修の費用
「子育て世帯臨時特例給付金」の支給について
◆「子育て世帯臨時特例給付金」とは
これは、4月1日から消費税率が8%へと引き上げられることに伴い、家計への影響が大きいとされる中・低所得者を対象に、負担軽減策として設けられた給付です。
住民税(市町村民税)非課税世帯が対象の「臨時福祉給付金」と、児童手当の受給世帯が対象の「子育て世帯臨時特例給付金」の2種類あり、合わせて国民の4分の1強の約3,670万人が支給対象とされています。
しかしながら、両方の要件を満たしていても受け取れるのはどちらか一方ですので、どちらも対象となる方は「臨時福祉給付金」だけを受け取ることとなります。そのため、「子育て世帯臨時特例給付金」の支給対象となるのは、約1,270万人と言われています。
◆支給対象
今年1月時点で児童手当を受給している世帯が対象となります。つまり、中学3年生以下の子を持つ家庭です。給付額は、児童手当の額にかかわらず一律で子ども1人につき1万円とされ、1回限りの給付となります。
なお、子どもの人数と親の所得に応じて決まる「所得制限額」以上の所得があり、児童手当の支給額が5,000円の家庭は、今回の特例給付金の支給対象外とされます。
◆申請手続
原則として、支給対象者が、2014年1月1日時点の住所地の市区町村に対して支給申請を行うこととされています。
支給時期については各自治体の準備が整い次第支給することとされており、6月頃から受付を開始し、7月から9月にかけて口座振込みにより支給されるものとみられています。
なお、基準日以降に、支給対象者や対象児童の状況に変化が生じた場合の取扱いについては、検討中の部分もあるため、今後リリースされる情報にも注目する必要があります。
2014年度の各種保険料額(率)・年金額
◆雇用保険料率
1月27日に2014年度の雇用保険料率が発表されました。2013年と変わらず、下記の通りとなります。
・一般の事業…1000分の13.5(労働者負担=1000分の5、事業主負担=1000分の8.5)
・農林水産清酒醸造の事業…1000分の15.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の9.5)
・建設の事業…1000分の16.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の10.5)
◆国民年金・厚生年金の
年金額
2014年度の年金額(老齢基礎年金)は満額で6万4,400円(月額)となり、2013年度に比べマイナス475円(0.7%の引下げ)という結果になりました。
この年金額は、2014年度の年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率(0.3%)よりも物価変動率(0.4%)が高くなるため、名目手取り賃金変動率(0.3 %)によって改定され、算出されたものです。
なお、2013年9月までの年金額が本来支給額よりも高い金額に据え置かれていたことを受け、2015年4月までにその特例水準を解消するため年金額が引き下げられます。当初予定では2013年10月分からマイナス1.0%、2014年4月分からマイナス1.0%、2015年5月から0.5%の引下げとする予定でしたが、上記賃金変動率と合わせて0.7%の引下げとなっているものです。
なお、厚生年金の年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、22万6,925 円(前年度比マイナス1,666円)です。
受給者の受取額が変わるのは、通常4月分の年金が支払われる6月からです。
1月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
○ 源泉徴収税額(※)・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]
20日
○ 特例による源泉徴収税額の納付<前年7月~12月分>[郵便局または銀行]
31日
○ 法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]
○ 給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]
○ 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>[郵便局または銀行]
○ 労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10月~12月分>[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
「割増率50%以上」適用拡大の動き&三六協定チェックポイント
◆「割増率50%以上」中小企業へ適用拡大か?
厚生労働省の調査で、月60時間超の法定時間外労働に対し、割増賃金率を「25%超」としている中小企業は1割強と少なく、さらにこのうち「50%超」としていた割合は1割に満たなかったことが明らかになりました。
大企業については、平成22年の労働基準法改正により、月60時間超の時間外労働に対する割増率を50%以上にしなければならなくなりましたが、中小企業については、現在この規定の適用が猶予されています。
厚生労働省では、今回の調査結果を踏まえて中小企業への適用拡大について検討を進める考えです。
◆「三六協定」のチェックポイント
時間外労働・休日労働に関する協定届(三六協定)を労働基準監督署に届け出ると、延長時間数の範囲内であれば、会社は1日8時間、週40時間を超えて時間外労働を命じることができます。
なお、三六協定とは別に、就業規則や個別の雇用契約書等に時間外労働・休日労働(所定時間外労働含む)の根拠規定を置いておくことは必要です。
三六協定に関する代表的なチェックポイントは、次の通りです。
・一定の規模があり、労務管理上、独立性があるような支社等は、別に三六協定が必要である。
・管理監督者、病欠、休職中の社員などの在籍するすべての労働者(事業場の代表者を除く)が、「労働者の過半数を代表する者」の選出に関する母数に含ま
れる。
・労働者の過半数代表として労働組合を締結主体とする場合、事業場ごとに、過半数以上を組織しているか(非正規労働者を当該労働組合が組織化していない場合は特に注意)。
・従業員過半数代表は、事業場ごとの投票、挙手、持ち回り決議など民主的な方法で選出する。
・特別条項が活用できるのは、1年間あたり6回以内。
・特別条項の「具体的事由」は具体的に明記する。
◆行政指導や労災認定リスクにも
三六協定の締結・届出は、毎年の業務のため流れで行ってしまいがちですが、慎重に確認しながら進めないと、行政指導を受けたり、万が一社員が過労により死傷したような場合には労災認定されて会社の義務違反が問われたりすることにつながりかねません。
上記に挙げたもの以外にもチェックすべきポイントはありますので、今一度、確認が必要です。