‘事務所通信’ 一覧

2014-06-05

「ストレスチェック」の内容と職場ストレスに関する最近の傾向

◆「ストレスチェック」の具体的内容

現在、国会で審議中の改正労働安全衛生法案に「ストレスチェック制度の義務付け」(従業員50人以上の企業が対象)が盛り込まれているのはご承知のことと思います。

このストレスチェックの内容は、下記の9項目について直近1カ月間の状態が「ほとんどなかった」「ときどきあった」「しばしばあった」「ほとんどいつもあった」のいずれに該当するかを労働者が回答し、その回答から判断される方法がベースになるようですが、今後、項目の変更や追加の可能性もあります。

(1)ひどく疲れた

(2)へとへとだ

(3)だるい

(4)気が張りつめている

(5)不安だ

(6)落ち着かない

(7)ゆううつだ

(8)何をするのも面倒だ

(9)気分が晴れない

◆これだけで本当にチェック可能!?

これらの質問に答えるだけでメンタル不調に該当するか否かを判断できるのか、甚だ疑問ではありますが、この9項目は旧労働省の委託研究を経て公開されたものであり、現在すでに使用されている「職業性ストレス簡易調査票」の一部に該当するものです。

2014-06-05

「労働時間法制の見直し」をめぐる最近の動向

◆「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入?

安倍政権が成長戦略の策定や改革実現のために設置した日本経済再生本部の下に設けられた「産業競争力会議」では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(以下、「WE」という)の導入が検討されています。

WEについては、2006年に規制緩和策の中に盛り込まれ、2007年に法案提出の動きがありましたが、与党内でも導入を懸念する声があり見送られたという経緯が

あります。

現在、6月に改訂する予定の安倍政権の成長戦略に盛り込むことが検討されていますが、長時間労働を助長させるものとして反対する声も多くあり、先行きは不透明です。

◆中小企業の残業代割増率が引き上げられる?

2010年4月に施行された改正労働基準法により、従業員数300名以上の企業の1カ月の時間外労働時間が60時間を超えた場合の割増賃金の割増率は50%以上とされていますが、中小企業については適用を猶予し、3年をめどに改めて適否を議論することとされていました。

このほど、政府は中小企業についても割増率を引き上げる検討に入り、2015年の通常国会に労働基準法の改正案を提出し、2016年4月からの施行を目指すとの報道がなされました。

割増率が引き上げられれば、企業の人件費負担が増す可能性がありますが、運送業のように残業時間を減らしにくい業種については、助成金等の措置も検討するとされています。

 

2014-06-05

「待機時間」の扱いはどうすればよい?

◆ドライバーの待機時間に関する争い

賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間(手待ち時間)について、「荷物管理を要求されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは相当でない」として、労働時間に該当するとする判決が出ました(4月24日横浜地裁相模原支部)。

会社側は、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には該当しない」と主張していましたが、裁判所はこれを認めず、従業員・元従業員計4人に対する未払い賃金約4,289万円と、これと同額の付加金の支払いを会社に命じました。

会社側の弁護士は「判決を精査したうえで今後の対応を考えたい」としており、今度控訴する可能性もあります。

◆「休憩時間」とは?

実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。

厚生労働省の通達では、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと」とされています。

◆ホームページ上のQ&A

また、同省のホームページでは、「私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?」という問いに対し、「休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待ち時間は休憩に含まれません。ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。」と回答しています。

◆「規定化」がトラブル防止

特定の時間帯が労働時間に該当するか休憩時間に該当するかについて曖昧になっているケースは多く、非常にトラブルが生じやすい問題ですが、「労働時間に該当する時間」、「休憩時間に該当する時間」を社内ではっきりさせておき、労使双方が納得したうえで規定化しておくことがトラブルを防止するための1つのポイントと言えるでしょう。

 

2014-04-28

5月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]

12

  • 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付

    6月2日

  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 外国人雇用状況報告(雇用保険の被保険者でない場合)
2014-04-28

助成金(両立支援助成金)の不正受給事例

◆「不正受給」に該当するケースとは?

助成金の支給申請に際して、事実通りに申請してしまうと助成金を受給できなかったり、期待した額の助成金を受給できなかったりするため、存在しない書類や実態と異なる書類を作成・提出して助成金を受給しようとすることは「不正受給」に当たります。

◆不正受給事例(1)

事業主Aは、助成金の申請にあたり「事業所内保育施設の建設に要した費用の領収書の写し」の提出が必要でしたが、助成金に詳しい外部者から「他の事業主はみんなこのようにかしこくやっている」と助言を受け、建設会社に依頼して実際に支払った金額よりも高額な額面の領収書を発行してもらい、本来受給できる金額より多額の助成金の支給を受けました。

後日、会計検査院の調査において不正の事実が判明して指摘を受けたため、事業主

Aは助成金を全額返還するとともに、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。さらに、労働局により詐欺罪(刑法246 条:10 年以下の懲役)で刑事告発され、警察の捜査を受けて書類送検されました。

 

◆不正受給事例(2)

 

事業主Bは、助成金の申請にあたり「対象労働者の出勤簿の写し」の提出が必要でしたが、もともと出勤簿を作成していませんでした。

 

このため、助成金に詳しい外部者が出勤簿を作成し、その写しを添付して支給申請しましたが、記載内容が実際の出勤状況と違うことが判明したため、事業主Bの助成金は不支給となり、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。

 

 

 

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