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雇用保険の教育訓練給付金が拡充!「専門実践教育訓練給付金」について
◆「専門実践教育訓練給付金」創設
雇用保険の教育訓練給付金が拡充され、10月から新たに、専門性の高い資格取得について、「専門実践教育訓練給付金」が創設されます(2018年度末までの期間限定)。
対象は、厚生労働大臣が指定する、業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする資格取得講座、中長期的なキャリア形成を支援する講座(企業などとの連携により最新の実務知識等を身につけられるよう教育課程が編成されている専門学校の職業実践専門課程、キャリアアップを目的とした専門職大学院)で、対象講座は今後も増える見通しとなっており、支給対象となる社員等も出てくるのではないかと思われます。
要件を満たせば、給付率が従来の「一般教育訓練給付金」(費用の20%、上限10万円)よりも大幅にアップしますので、制度の紹介をすれば喜ばれるのではないでしょうか。
◆支給対象者は?
雇用保険に原則10年以上加入している方が利用できます。
◆給付の内容は?
最長3年間にわたって支給され、給付率は費用の40%(上限:1年で32万円)です。
講座修了後に資格や学位を取得して就職すると、費用の原則20%が追加支給され、合計で費用の60%分が支給されることとなります(上限:1年で48万円)。
◆申請手続は?
専門家のキャリア・コンサルティングを受け、受講前にハローワークで手続きを行います。
給付金の申請は半年ごとに行い、その都度、講座実施期間が発行する受講証明書
等を提出する必要があります。
正社員とパート社員の諸手当の格差はどのぐらい?
◆企業はどんな手当を設けている?
厚生労働省の「平成22年就労条件総合踏査」の結果によると、支給企業数が多い順に通勤手当、役付手当、家族手当、技能・技術(資格)手当、住宅手当となっています。
規模に応じて設ける手当の傾向が分かれており、小規模企業では精皆勤手当・出勤手当が多く、大規模企業では住宅手当、調整手当、特殊勤務手当、単身赴任手当、別居手当、地域(勤務地)手当、特殊作業手当を設けるところが多くなっています。
◆正社員とパート社員では付く手当が異なる
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査」の結果によると、正社員とパート社員では付ける手当に違いが見られます。
どちらも通勤手当と役付手当が上位2つですが、正社員では次いで家族手当、技能手当・技術(資格)手当、住
宅手当が多いのに対し、パート社員では業績手当(個人、部門、グループ等)、技能手当・技術(資格)手当、精皆勤手当・出勤手当が多くなっています。
◆通勤手当の額はどのぐらいか?
上記の調査結果によれば、通勤手当の1人当たり支給額(月単位)は、正社員12,477円、パート社員7,710円となっています。
支給額について、39.3%の企業が上限額を設けており、その平均額は34,260円ですが、上限額に関する規定は大規模企業ほど設けているところが多いという特徴が見られます。
なお、正社員に通勤手当を支給する企業の割合が89.8%なのに対し、パート社員では76.4%と差が見られますが、この理由については、(1)交通費がかからない者を採用している(30.2%)、(2)交通費は基本給に含めて支給している(25.8%)、(3)自転車通勤のため算定困難(14.3%)となっています。
来春施行の改正パート労働法では、短時間労働者であることを理由とする不合理な差別的取扱いが禁止されることとなり、通勤手当についても違いを設ける場合には合理的な理由が必要となります。
自社の規定がどうなっているか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
9月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
1日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
10日
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
30日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
大人気!「キャリアアップ助成金」の概要
◆大人気の助成金
平成25年度から始まった「キャリアアップ助成金」ですが、受給の要件となる「キャリアアップ計画」の作成・認定企業数が厚生労働省の予想を大幅に超えているそうです。
ここでは、どのような助成金なのかを簡単に見ていきます。
◆助成金の概要
「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、「正規雇用への転換」、「人材育成」、「処遇改善」等の取組みを実施した事業主に対して支給されるもので、次の6コースがあります。
(1)正規雇用等転換コース
(2)人材育成コース
(3)処遇改善コース
(4)健康管理コース
(5)短時間正社員コース
(6)短時間労働者の週所定労働時間延長コース
なお、コースによっては、平成26年3月1日から平成28年3月31日までの間は、支給額の増額、要件の緩和の措置がとられています。
◆様々な要件、書類が必要
「キャリアアップ計画」の作成・提出後にはコースごとに様々な要件があり、書類の提出も必要となります。厚生労働省ホームページにも詳しい内容が記載されています(「キャリアアップ助成金」で検索)。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
「労働災害のない職場づくり」に向けた緊急対策
◆増加する労災死亡事故
厚生労働省が「平成26年上半期の労働災害発生状況」を発表し、死亡者数が437人(対前年比71人、19.4%増)、休業4日以上の死傷者数が
4万7,288人(同1,625人、3.6%増)となり、昨年から大幅に増加したことが明らかになりました。
同省では死亡者の大幅増加を受け、「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策」を実施するようです。
◆「緊急対策」の内容
緊急対策の柱としては、以下の2点となります。
(1)業界団体などに対する労災防止に向けた緊急要請
・産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検の要請
…経済活動の一層の活発化が見込まれる中で労災の増加が懸念されることから、産業界全体(約250団体)に対し、企業の安全衛生活動の総点検と労使・関係者が一体となった労災防止活動の実施を要請。
・労災が増加傾向にある業種に対する具体的な取組みの要請
…特に労災が増加している業種(製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店)に対しては、労災防止のための具体的な取組内容を示し、その確実な実施を要請。
(2)都道府県労働局、労働基準監督署による指導の内容
都道府県労働局と労働基準監督署において、労働災害防止団体などと連携した安全パトロールを実施するほか、事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえた指導などを実施。
◆ 労災発生状況のポイント
全産業における死亡者数(437人)を業種別に見ると、建設業(159人)、第三次産業(92人)、製造業(82人)、陸上貨物運送事業(55人)の順で災害が多発していたそうです。
建設業では、屋根、足場、はしご・脚立などからの「墜落・転落」と、建設機械などに「はさまれ・巻き込まれ」による死亡者が大幅に増加し、陸上貨物運送事業では、荷積み、荷下ろし時のトラックからの墜落をはじめとした「墜落・転落」の死傷災害が増加、第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店)では、転倒や無理な動作による腰痛などが増加していたようです。
これらの増加要因として、同省は「景気回復で企業活動が活発になる中、人手不足で現場に経験の浅い労働者が増え、事故につながっている」としています。
今後、対象の業種には、自主点検票の送付や研修会の開催などの取組みの強化がなされていくようです。