2013/04/20
「解雇権濫用」「名ばかり管理職」に関する裁判例
◆メーカーが多数の労働組合員を解雇
神戸市にある鋼管メーカーを解雇された従業員(22人)が地位確認などを求める訴えを提起していましたが、神戸地裁は「解雇権濫用のため無効である」として、会社に対して未払賃金の支払いを命じる判決を下しました(2月27日)。
この会社は、事業縮小を理由として2011年6月に工場勤務の従業員(28人)を解雇しましたが、28人のうち26人は労働組合員だったそうです。
裁判官は判決で「他部署への配転を検討するなど、解雇を避ける努力を尽くしていない」と指摘し、また、解雇された従業員の大半が労働組合に加入していたことが「明らかに不自然である」としました。
原告の男性の1人は、「会社は判決を重く受け止め、早く職場に戻してほしい」と話しているとのことです。

◆大学が財務課長を管理職扱い
広島県にある私立大学の元財務課長(57歳)が、実態は管理職ではないにもかかわらず管理職として扱われて残業代が支払われなかったとして、大学側に対して未払賃金等(約630万円)の支払いを求めて訴えを提起していましたが、広島地裁は「時間外手当の支給対象外となる管理監督者には該当しない」として、学校側に対して約520万円の支払いを命じました(2月27日)。
訴えていた男性は、2008年4月から2011年3月まで財務課長を務めており、最も多い月の残業時間は103時間30分だったそうです。
裁判官は判決で「原告の上司として法人事務局長などが置かれ、業務の大部分で上司の決裁が必要であり、権限は限定的だった」としました。また、出退勤時間等に関する裁量が限られていたことなども考慮され、「権限や責任が経営者と一体というのは困難である」とされました。
大学側はこの判決に不服のため、控訴を検討している
とのことです。





2013/04/20
「裁量労働制」の採用増加と規制改革会議の動向
◆裁量労働制の協定届出数が過去最多
厚生労働省のまとめによると、「裁量労働制」の届出数が過去最多(2011年)となったそうです。届出数は年々増加しており、「専門業務型」は過去10年間で約3倍となり、「企画業務型」は適用要件が緩和された2004年以降は約2倍となったそうです。

◆「裁量労働制」とは?
裁量労働制は、業務の性質上、その遂行手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務として厚生労働省が定める、一部の業務について限定して適用できる制度です。
対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業
務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなします。労働時間だけでは成果を評価しにく
い働き方に対応するために設けられた制度です。
裁量労働制には、「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。それぞれ対象となる業務が定められており、導入には労使での合意、労働基準監督署への労使協定等の届出、就業規則等の整備など、慎重な検討が必要です。また、企画業務型の場合は、導入に必要な事項を協議する「労使委員会」の設置や定期的な状況報告等が必要になります。
なお、一部に誤解があるようですが、裁量労働制を採用していても、働いたこととみなす時間(みなし労働時間)が法定労働時間を超えている部分については残業代が発生します。また、深夜勤務や休日勤務を行ったりすれば割増賃金が発生します。

◆メンタルヘルス不全誘発の一因にも
専門業務型裁量労働制は、特にSE(システムエンジ
ニア)のような業務で最も多く導入されています。中には裁量労働制の持つ「仕事の手順や時間配分を労働者に任せる」という特徴を、企業に時間管理の特徴を、企業に特徴を、企業に時間管理の責任がないというように誤解したうえ、本来対象とならないような労働者まで裁量労働としている例もあるようです。
その結果、長時間労働を助長し、うつ病の発症等のメンタルヘルス不全につながっているという指摘もあります。裁量労働制を導入していても労働者への健康配慮は会社の義務ですので、会社は出社・退社の時間などを管理しておく必要があるでしょう。

◆規制改革会議での議論
政府の規制改革会議の議論では、企画業務型裁量労働制の適用拡大等についても取り上げられることになっています。いわゆる「ホワイトカラーエグゼンプション」(一定以上の年収のホワイトカラーを労働基準法で定めた労働時間の規制から外す制度)が導入されることになるのかどうか、今後の動向に注目です。






2013/04/20
4月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる
場合[公共職業安定所]
○労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
[労働基準監督署]
15日
○給与支払報告に係る給与所得者異動届の提出<4月1日現在>[市区町村]
30日
○預金管理状況報告の提出[労働基準監督署]
○労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、1月〜3月分>[労働基準監督署]
○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○外国人雇用状況報告(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]